近年、弊社のお客様から日光や鬼怒川、軽井沢、石和温泉、八ヶ岳など観光地のホテルや温泉旅館において酒類販売免許のご相談や取得依頼が増えております。
観光ホテルでのお酒の販売に必要な免許
観光ホテルのお土産コーナーでお酒を販売する場合には、一般酒類小売業免許が必要です。多くの観光ホテルでは、地元産のお酒を販売することが多いですが、一般酒類小売業免許があれば、地元産のお酒だけでなく、国内の大手メーカーが製造するビールも販売することができます。ただし、自動販売機のみでのお酒の販売は許可されていないため、店頭に陳列する必要があります。
免許取得時の注意点
観光ホテルが酒類販売免許を取得する際には、酒税法第10条11号に定められた需給調整要件をクリアする必要があります。需給調整要件とは、以下のように定められています。
「酒税の保全上、酒類の需給の均衡を維持する必要があるため、酒類の販売業免許を与えることが適当でないと認められる場合に当たらないこと。」
具体的には、以下の場合には要件をクリアしていないと判断され、免許が取得できない可能性があります。
- 法人または団体で、設立の趣旨から見て販売先が原則としてその構成員に限定されている場合。
- 酒場、旅館、料理店など酒類を取り扱う接客業者ではない場合。
観光ホテルの場合、原則として上記のb)に該当します。しかし、観光ホテルでも一定の対策を講じることで、需給調整要件をクリアし、免許を取得することができます。
具体的には、ホテルには飲料部門と物販部門の双方が存在します。両部門の仕入先や在庫管理を明確に区分する必要があります。例えば、お土産コーナーで販売するビールは、卸免許を取得している業者から仕入れ、飲料部門で提供するお酒は、小売免許を取得している業者から仕入れる必要があります。
観光地等酒類小売業免許について
以前は、観光地等酒類小売業免許という免許がありましたが、平成18年4月1日の酒税法改正により、一般酒類小売業免許に統合されました。酒税法改正以前に観光地等酒類小売業免許を取得している方は、一定の条件をクリアすることで、一般酒類小売業免許を受けることができます。
酒類小売業免許の種類
「酒類小売業免許」とは、店頭やインターネットでお酒を販売する際に必要な免許です。販売方法によって以下の3種類があります。
- 一般酒類小売業免許: 販売場で全ての品目の酒類を小売できます。主に店頭での販売や飲食店での併設販売を想定しています。
- 通信販売酒類小売業免許: インターネットやカタログを利用してお酒を販売する際に必要な免許です。国産の大手ブランドビールは販売できません。
- 特殊酒類小売業免許: 会社の役員や従業員に対して酒類を販売する場合など、特別な状況での販売に必要な免許です。
酒類小売業免許の取得要件
酒類小売業免許の取得には、以下の要件を満たす必要があります。
- 人的要件: 申請者が酒税法に定める要件を満たしていること。
- 場所的要件: 販売場が特定の場所に該当しないこと。
- 経営基盤要件: 経営状態が安定していること。
- 需要調整要件: 一般酒類小売免許の場合、特定の法人や団体、接客業者でないこと。
営業開始までの期間
免許申請書が受理されてから約2ヶ月で免許証が発行されます。
この記事が、観光ホテルや温泉旅館での酒類販売免許の取得に役立つことを願っています。ご質問やご不明点があれば、お気軽にお問い合わせください。