お祭り、地域のイベント、博覧会、デパートの催事、展示会など、一時的な場所でお酒を販売したいと考えている事業者の皆様にとって、期限付酒類小売業免許の取得は不可欠な第一歩です。
この免許は、普段は酒類販売業免許を持っていない事業者が、特定の場所と期間を定めて酒類を販売するために必要なライセンスであり、無許可で販売を行うことは酒税法違反となります。
はじめに:イベントを成功させる「期限付酒販免許」とは?
本記事では、期限付酒類小売業免許の「申請」と「届出」の違い、手続きの流れ、必要な書類、そしてイベントを成功させるための重要な注意点について、専門家である行政書士が分かりやすく解説します。

1. 期限付酒類小売業免許の基礎知識と要件
1-1. 期限付酒類小売業免許とは?
期限付酒類小売業免許は、販売場が固定的な店舗ではない場合や、販売期間が一時的である場合に取得する免許です。この免許は、販売場ごとに付与され、許可された期間が終了すると効力を失います。
この免許には、手続きの方法として「届出」と「申請」の2種類があり、必要な書類と要件が異なります。
1-2. 「届出」と「申請」の違いと判断基準
手続きが「届出」で済むか「申請」が必要かは、主にイベントの性質、販売場所、および販売期間によって決まります。
| 項目 | 届出による免許 | 申請による免許 |
| イベントの性質 | 地域の祭り、小規模なイベント、博覧会など | 大規模なイベント、長期にわたる催事、要件の複雑な販売場 |
| 販売場所 | 臨時的に販売場を設ける場合 | 臨時的に販売場を設ける場合 |
| 手続きの難易度 | 比較的容易(書類が少ない) | 厳格な審査あり(書類が多い) |
| 酒類販売管理者 | 選任義務は原則なし | 選任義務あり(必須要件) |
どちらの手続きが必要となるかは、管轄の税務署が個別の状況に基づき判断するため、必ず事前に相談が必要です。
1-3. 免許が不要となるケース
すでに有効な酒類製造免許、または酒類販売業免許をお持ちの事業者が、臨時でイベント販売を行う場合、期限付免許が不要となる例外規定があります。
ただし、既存の免許で許可されている販売場所以外で販売を行う場合は、必ず事前に管轄の税務署に確認し、販売場所の確認手続きを行う必要があります。確認を怠ると、無許可販売とみなされるリスクがあるため、注意が必要です。
2. 期限付酒類小売業免許の取得手続きの流れ(STEP別解説)
期限付酒類小売業免許の取得は、以下の3つのステップで進めます。

STEP1:管轄の税務署への事前相談(最重要)
イベントを開催する場所を管轄している税務署に対し、まず最初に行うべきは事前相談です。
- 伝えるべき情報: イベントの概要(開催場所、期間、販売予定の酒類の種類と数量、販売方法など)を具体的に伝えます。
- 確認事項: 「届出」で済むのか「申請」が必要なのか、それに伴う具体的な必要書類と提出期限を確認します。
- 相談のメリット: 個別の状況に合わせた的確なアドバイスを受けることで、手続きの抜け漏れを防ぎ、スムーズな免許取得につながります。
STEP2:必要書類の準備と酒類販売管理者の選任
税務署からの指示に基づき、必要な書類を準備します。
- 届出の場合の主な必要書類: 届出書、身分証明書のコピー、販売場の図面(区画を明示)、酒類の取扱予定・設備概要書など。
- 申請の場合の追加書類: 酒類販売管理者の選任届、販売計画書、販売場の詳細な図面など、より詳細な書類が必要となります。
【POINT】酒類販売管理者の選任
「申請」が必要な場合、酒類販売管理者の選任は必須です。管理者は、未成年者への販売防止などの責任を負う者であり、原則として過去3年以内に酒類販売管理研修を受講している必要があります。
STEP3:申請・届出書類の提出と審査
準備が完了した書類一式を管轄の税務署に提出します。
- 提出期限: 「申請」の場合は、通常の小売業免許と同様に審査期間を要するため、イベント開催日の少なくとも1ヶ月前には提出することが推奨されます。
- 審査期間: 「届出」は比較的迅速ですが、「申請」の場合は審査に時間を要します。
3. イベントでの酒類販売に関する重要注意点

期限付酒類小売業免許を取得し、イベントでお酒を販売する際に、特に注意すべき法令遵守事項があります。
3-1. 未成年者飲酒防止対策の徹底
酒類販売管理者の選任有無にかかわらず、未成年者への酒類販売防止対策は必須です。
- 年齢確認の徹底: 成人であることを確認できない場合には酒類を販売しない旨を、販売場の公衆の見やすい場所に100ポイント以上の活字で明りょうに掲示します。
- 身分証明書の確認: 年齢が疑わしい場合には、年齢確認ができる身分証の提示を求め、未成年者への販売を絶対に行わない体制を構築する必要があります。
3-2. 販売数量の「終了後報告義務」
イベントが終了した後、実際に販売した酒類の数量について、税務署に報告する義務があります(酒税法上の義務)。
- 報告期限: イベント終了後、多くの場合10日以内と定められています(管轄税務署に要確認)。
- 日々の記録: 報告を正確に行うために、イベント期間中の**日々の販売数量(酒類の種類ごと)**を正確に記録しておくことが不可欠です。
3-3. 無許可販売の厳罰
期限付酒類小売業免許を取得せずに酒類を販売した場合、酒税法違反となり、懲役刑や罰金刑の対象となります。イベント主催者としての信用失墜にもつながるため、必ず正規の手続きを踏みましょう。
まとめ:専門家との連携でイベント販売を成功に
期限付酒類小売業免許を取得することで、イベントや博覧会などの特別な機会に、合法的にお酒を販売し、イベントの魅力を高めることができます。
しかし、「届出」か「申請」かの判断、酒類販売管理者の選任、そして膨大な必要書類の準備は、イベントの準備と並行して行うには大きな負担となります。
私たちYAS行政書士事務所(酒類販売業免許申請代行センター)は、イベントや催事における期限付酒類小売業免許の申請を専門としており、迅速かつ確実に免許を取得できるようサポートいたします。煩雑な手続きをプロに任せ、貴社はイベントの企画・運営という本業に集中してください。
確実な法令遵守とスムーズな手続きで、イベントでの酒類販売を成功させましょう。
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